2012年1月9日月曜日

《真砂ノ触角》「同世代の現代に対する模索」 by 宮田徹也

2012年1月7日(土) 吉本裕美子 meets 木村由「真砂ノ触覚」@四谷三丁目 綜合藝術茶房 喫茶茶会記

この公演で特筆すべきは、吉本裕美子のguitarが一時間、滞ることなく連続したことにある。それは海流という大きなうねりに似る。木村由はその海流に対して海面に顔をだすこともなく、海底に沈みこむこともなく、唯、漂うこともなく身を任せた。

二人は並んで立つ。リバーヴが利くE.guitarがさ迷う中、木村の右手は僅かに上がり、容を創り上げていく。体を撓らせ、素早い動きを見せると吉本は持続したまま意識を変え、細かいアタックによるフレーズを多用する。

木村は正座の体勢となり、力を閉じ込めていく。吉本は断片的な音を、途切れずに紡いでいく。木村がゆっくりと床に額をつけると、吉本はボトルネックで弦を擦りあげる。吉本はエフェクターを次々と転換するが、散漫にはなっていかない。

立ち上がった木村は素早い動きを見せ、自己を束縛し、竦め、壁を背に左足のみで立脚する。吉本がトリルによると、木村は小刻みに移動する。このリズムと足運びが一つのトニックとなった。

吉本はE.guitarにハウリングを発生させて、A.guitarを手に取る。何時しか仰向けになっていた木村の手足が上がり、床にA.guitarを置きながら演奏を続ける吉本と向き合う体勢となる。木村は体の向きを変え、壁を背に爪先を操る。

吉本はE.guitarに戻り、ヴァイオリン奏法によって音に立体的な触角を与える。木村は腰を上げ、両腕を横へ広げる。その体を横に向け、手首が交差し、視線を奥へ飛ばす。ここにも多面的要素が垣間見られた。

吉本はヴァイオリン奏法を続ける。木村は体を竦ませ、背を向けて両肘をあげ、床に転じていく。吉本はミュートを利かせて音を拡散させ、その音を収斂するような持続音を発する。木村もまた、意識を持続させる。

吉本がリズムをフリーフォームにすると、木村は床に倒れて公演は終了する。

二人にシンクロニシティが生まれたのだ。真の砂は乾いている状態だけではない。触角は高角度の視野を供えていた。同世代の、現代に対する模索の結果がここにあった。それに答えがないとしても、この公演は、確かに現実化したのであった。

(宮田徹也/日本近代美術思想史研究)

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